トランプ氏に「誰がみても利益相反」と高まる批判 大統領職と自身の事業との間で (1/2ページ)

 【ワシントン=小雲規生】トランプ次期米大統領に対し、大統領職と営んでいる事業の間で「利益相反」が生じるとの批判が強まっている。トランプ氏は連邦政府とのリース契約に基づいて9月にホテルを開業したほか、海外20カ国以上で展開している事業についても外交政策をゆがめる可能性が指摘されている。事業は子供たちに引き継ぐとして問題の沈静化を狙うが、利益相反の状態を完全に解消することは難しいのが実情だ。

 「大統領がリース契約から利益を得ることを禁じられていることは明らかだ」

 民主党のカミングス下院議員ら4議員は14日の声明で、トランプ氏がワシントンに開業させた「トランプ・インターナショナル・ホテル」にかみついた。

 ホテルの建物は政府が保有。トランプ氏は2013年、政府と60年間のリース契約を結び、全面改装した上で開業した。しかし契約は公職者が当事者となることを禁じており、トランプ氏の大統領就任後は契約違反となるとみられている。

 契約では、借り手が政府に経営状況を報告することを義務づけている。このままだと、事業家としてのトランプ氏の報告を大統領としてのトランプ氏がチェックする形になり、専門家は「誰がみても利益相反」と批判する。

 海外での事業展開でも問題を抱えている。トランプ氏のホテルやゴルフコースの経営には各国政府のさまざまな許認可が不可欠。事業を円滑に進めるため、相手国に都合の悪い外交姿勢が取れない可能性があるからだ。