「GSにあらずんば…」 政権泳ぐ巧みな「処世術」 トランプ氏と蜜月にやっかみも (1/3ページ)

 米金融大手ゴールドマン・サックス(GS)が「わが世の春」を謳歌している。トランプ次期大統領が経済ブレーンにGSの首脳クラスを相次ぎ登用しており、注目度の高まりと合わせて、業績も絶好調。あまりの新政権との「蜜月」ぶりに、ついやっかみの声も聞こえてくるが…。

 「トランプ氏を支える『GS3人衆』」

 金融界では最近、そんな言葉も聞かれ始めた。3人衆とはトランプ氏が新政権に登用したGS幹部クラスの出身者のこと。まず財務長官に指名されたスティーブン・ムニューチン氏はGSでは17年間務め、退社後はヘッジファンドなどを創設した。ハリウッドでも投資し、「ハドソン川の奇跡」など話題作に携わったことでも話題を集めた。

 商務長官に選ばれたウィルバー・ロス氏は世界各地で企業再生に携わり、「再建王」の異名を持つ。日本でも幸福銀行(関西アーバン銀)を買収し、知日派としても知られている。

 そして、大統領の経済政策を立案する国家経済会議委員長に指名されたゲーリー・コーン氏は、GSでも社長兼最高執行責任者(COO)の肩書を持つ現役バリバリの首脳だ。

 さらに「おまけ」ではないが、ホワイトハウスの首席戦略担当兼上級顧問に就くスティーブン・バノン氏もかつてGSで勤務。ムニューチン氏の父親も元GS幹部というGS一家だ。

 現GS首脳のコーン氏については、ロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)の有力な後継候補とみられていただけに、ウォール街では驚きの声が上がった。トランプ氏は「ビジネスマンとして大成功した。その才能を米国民のために役立ててくれる」と声明で絶賛している。

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