写真はフィルムで、音楽はカセットテープ-。一定の年代以上には懐かしさを感じる「アナログ製品」の人気が、10~20代を中心にじわじわと広がる。関連イベントや販売店も盛況で、関係者は「デジタル慣れした若い人には斬新なモノであり、ファッションアイテムでもある」と話す。
柔らかい雰囲気
「粗さやピンぼけで柔らかい雰囲気とか温かみが出せる。人と違う表現ができるのが楽しい」。茨城県つくば市の大学4年、北川拳汰さん(22)は知人にすすめられ、昨年春ごろからレンズ付きフィルムで身近な人や風景を撮り始めた。
写真はインターネットの会員制交流サイト(SNS)に投稿して友人と共有。撮り直しができず、フィルムを巻く手間もかかるが「そこが逆に新鮮」。現像するまで仕上がりが分からないわくわく感も魅力という。
レンズ付きフィルム「写ルンです」が今年で発売30周年を迎える富士フイルムは、直営店での販売数が昨年の5倍以上。購入者の大半は10~20代の若い女性で、春に発売した限定モデル5万個も「予想を上回るペースで完売した」と担当者は驚く。