2016年の東京市場は、日銀のマイナス金利政策の導入や英国の欧州連合(EU)離脱決定、米大統領選でのトランプ氏勝利など、「想定外」の連続で株や為替は何度も乱高下し、激動の1年となった。年初から中盤は円高・株安に大きく振れたが、トランプ氏の経済政策への期待を背景とした11月以降の「トランプ相場」で流れは一変し、急激な円安・株高が進行。日経平均株価も円相場も、ほぼ「V字」の姿となった。
「大方の市場関係者の想定が何度も覆され、立て続けにサプライズ(驚き)が起きた年は、記憶する限り初めて」
三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストは今年の金融市場をこう振り返った。
6日続落のスタート
資産運用会社のスパークス・アセット・マネジメントが個人投資家に実施した調査で、2016年の東京株式市場を表す漢字1文字で最多だったのは「乱」。前年も首位だったが、全体に占める割合は前年の約1割から今年は約2割に上昇した。
1月4日は、中国経済の減速懸念から平均株価が大発会としては過去2番目の下げ幅を記録。戦後初めて年初から6営業日続落となり、早くも暗雲が立ちこめた。原油先物相場が急落して約12年ぶりの安値に沈み、産油国が株式市場から資金を引き揚げるとの懸念が強まったことも打撃となった。
投資家がリスク回避に傾いて円高・株安が加速。2月12日に平均株価は約1年4カ月ぶりに節目の1万5000円を割り込んだ。