米国の次期環境長官に“温暖化対策の敵” トランプ政権誕生でパリ協定は風前の灯火 (1/4ページ)

 「地球温暖化は中国のでっちあげ」-。そう断言していたトランプ次期米大統領の誕生で米国の環境政策は大転換しそうだ。環境保護局(EPA)長官には再生可能エネルギーを重視したオバマ政権の政策に激しく反発する人物を据え、温室効果ガス削減目標も無視する可能性がある。米国が国際協調から離反すれば、“優等生”を演じる最大排出国の中国がますます存在感を強めるのは必至だ。

 長官は訴訟相手

 「EPAは反エネルギー産業の政策を導入し数百万人分の雇用をつぶした」。トランプ氏は8日の声明でこう批判し、次期EPA長官に据えるオクラホマ州の司法長官、スコット・プルイット氏が「流れを逆転させる」と期待を示した。

 プルイット氏はトランプ氏同様、地球温暖化対策に懐疑的だ。火力発電所の二酸化炭素(CO2)排出を規制するオバマ政権の「クリーンパワー・プラン」がエネルギー産業を圧迫していると批判し、よりにもよってEPAを相手取り無効を求める訴訟を起こした。

 この規制は米国が掲げる温室効果ガス削減目標「2025年までに05年比で26~28%削減」の根幹であり、新長官のもと廃止されれば目標自体が有名無実化する。

ぬか喜びに嘆息