米国の次期環境長官に“温暖化対策の敵” トランプ政権誕生でパリ協定は風前の灯火 (2/4ページ)

 山本公一環境相は9日の記者会見で、「いままでどういう発言をされていたかは重々承知している」と述べ、警戒感をあらわにした。プルイット氏の思惑を探るため同省幹部を米国に派遣し情報収集に当たる。

 ぬか喜びに嘆息

 トランプ氏は大統領選後の米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、パリ協定からの脱退を掲げた自身の発言について「注意深く検討している。この件について私はオープンな考えを持っている」と方針転換を示唆し、環境問題の関係者に安堵(あんど)感が広がった。

 パリ協定は発効後4年間は事実上脱退できない規定がある。昨年12月の採択後1年に満たない短期間で各国が批准を進め、今年11月に発効させたのは“トランプ封じ”の狙いもあった。

 ただ、パリ協定は温暖化対策に後ろ向きだった発展途上国を巻き込むため、目標の達成が義務付けられなかった。つまり、脱退しなくても「政権交代による政策変更で実現不可能」と押し通すことが可能だ。各国は国際会議で集中砲火を浴びせることはできても、対策を無理強いはできない。

存在感増す中国