トランプ外交、中東政策のカギ握るユダヤ人脈 イスラエル右派にてこ入れか (3/3ページ)


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 イスラエル国家安全保障研究所のオデド・エラン上級研究員は、「トランプ氏がイスラエルの『真の友人』かどうかは、イラン政策で決まる。わが国にとって重要なのは、宗教的情熱ではなく、安全保障への米国の関与。イランの脅威は、パレスチナ問題より切迫している」と指摘する。

 トランプ氏が次期国務長官に指名したレックス・ティラーソン氏(64)は石油業界出身で、パレスチナ側を支持するアラブ諸国と関係が深い。エラン氏は「イスラエルは、イランを敵視するアラブ諸国と急接近している。ティラーソン氏が仲介役になってくれるのはよいことだ」と話す。

 トランプ外交の行方が不透明な中、確実なのはイスラエル、パレスチナの和平合意がさらに遠のくということだ。

 トランプ氏は「中東和平という偉業」に意欲を示したが、ユダヤ系側近の声に従っていては、実現は見込めない。そればかりか、アラブ諸国に対するイスラエルの戦略的接近すら、断ち切ることになりかねない。(三井美奈)