トランプ次期米大統領の強硬な通商戦略が5日、ついに日本企業に“牙”をむいた。トヨタ自動車のメキシコ新工場建設計画に対する批判は、通商協定の軸足を環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など多国間の枠組みがもたらす輸出拡大から、国内産業保護へと舵を切る流れの一環だ。日本にも今後、米国に有利な2国間協定を求めてくる可能性が高く、貿易摩擦の再燃に懸念が強まっている。
「トヨタが米国内で造っている車がどれぐらいあるのか、次期米大統領の頭の中に入っているのか疑問だ」(麻生太郎財務相)
トランプ氏のトヨタ批判を受け、日本政府内では困惑が広がった。1980年代の日米自動車摩擦以来、現地生産を増やし“米企業”として溶け込もうとしてきた「努力と実績」(世耕弘成経済産業相)を政府としてもアピールし、米新政権の理解を得たい考えだ。
トランプ氏は、北米自由貿易協定(NAFTA)内なら原則ゼロになる乗用車の関税を、メキシコなどからの逆輸入品に対して「35%課税する」と表明した。