米アップルがスマートフォンへの採用を検討する有機ELディスプレー開発の波は、新潟県見附市のキヤノンの子会社にも恩恵をもたらしている。
発光体の膜を基板に蒸着させるキヤノントッキの装置は、現在の有機ELの製造に不可欠となっており、各国のディスプレーメーカーから注文が相次いでいる。同社は2017年も生産能力の拡大を計画する。
キヤノントッキの会長兼最高経営責任者(CEO)の津上晃寿氏が、ブルームバーグのインタビューに応じた。「需要は3年は続く」と津上氏は話し、「当社の生産キャパシティーが問題で納入ができない状況は早く解消するよう、増強を進めていく」と述べた。
有機ELは従来の液晶ディスプレーと比較して薄く、鮮やかな色彩を表現することができ、アップルはスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の次世代機種への採用を検討している。ただ供給元は事実上、韓国のサムスン電子1社だけで、増加するアイフォーン需要を満たせるほど十分に生産できない恐れがある。キヤノントッキの製品は量産化の実績などで優れており、同社の供給能力が、他のディスプレーメーカーの有機EL開発の行方を左右することになる。