【ワシントン=小雲規生】トランプ次期米大統領は、英国の欧州単一市場からの離脱は、米英関係を強化する好機になるとみているもようだ。英紙タイムズとドイツ紙ビルトの共同インタビューに対して、米英間の自由貿易協定について「極めて迅速に」合意することができると強調している。
トランプ氏は移民問題を背景にして欧州連合(EU)離脱を決めた英国民の判断にも共感を示してきた。メイ首相について「ホワイトハウスに入れば、すぐに会談する」と述べており、次期政権で英国を重視する姿勢を鮮明にしている。
ただし、英国が欧州単一市場から抜けることは米国企業にとっては大きな不安材料だ。米国企業が英国に持つ工場からEU市場への輸出が難しくなるだけでなく、EUの工場から英国市場への輸出も停滞するリスクが出てくる。
欧州の金融取引の中心地ロンドンに拠点を持つ米国の金融機関も懸念を抱く。離脱の条件次第ではロンドンからEU各国の企業に対する金融サービスが部分的に実施できなくなることも想定され、ウォール街で対応策の検討が進んでいる。