投資信託協会が18日までに発表した投信概況によると、一般の投資家が購入できる公募投信の純資産総額は2016年末時点で前年末比1兆1147億円減の96兆6415億円となり、5年ぶりに減少した。アベノミクス相場と呼ばれる株高で投信の規模は拡大したが、16年は円高傾向や日銀のマイナス金利政策が重荷となった。
円相場が対ドルや対ユーロで円高に振れ、外貨建て投信の運用成績が悪化した。資産運用によるマイナスは、全体で3兆7729億円に達した。
一方、投信の新規設定から解約や償還を差し引いた純資金流入額は全体で2兆6582億円に上り、13年連続の流入超過となった。日銀が16年夏から日本株の上場投資信託(ETF)を年6兆円ペースで買い始めたことが貢献した。
比較的安全な投信として知られたMMF(マネー・マネジメント・ファンド)は資金流出が目立ち、全体の足を引っ張った。日銀が16年2月に導入したマイナス金利政策により、日本国債などでの運用が難しくなった。資金の大半は投資家に返還され、残高は1兆5773億円減の655億円となった。