中国国家統計局の寧吉●局長は20日、2016年の実質国内総生産(GDP)成長率が前年比6.7%と26年ぶりの低成長に落ち込んだことに対し、経済成長を“量から質へ”と変化させることを示す習近平指導部の標語を使い、「新常態(ニューノーマル)の成果だ」と強調した。バブル経済からのソフトランディング(軟着陸)をめざしている。
だが、民間経済の落ち込みを公共投資などでカバーして、景気の急落を押さえ込んだのが実態といえ、むしろ「質」は悪化した。
GDPと同時発表された工場建設など設備投資を含む固定資産投資は8.1%増で15年の10.0%から鈍化した。このうち民間投資は15年の10.1%から、16年は3.2%に下落している。民間企業の投資意欲がそがれた分を公共投資や国有企業が支えた構図だ。
赤字を垂れ流す「ゾンビ企業」と呼ばれる石炭やセメントの業界再編も地方政府など抵抗勢力の反発で計画倒れで、鉱工業生産は国有企業を中心に6.0%増えた。景気刺激策で不動産開発投資も6.9%増と15年より大幅に増え、逆にバブル再燃の兆しだ。
さらに、「重工業の低迷や外資系企業の撤退で遼寧省がマイナス成長となるなど北部が落ち込む一方、中南部は不動産や消費が好調で“南高北低”の傾向が強まった」(丸紅中国法人の鈴木貴元・経済調査チーム長)として、地域間のひずみを懸念する声もある。