米入国制限に冷静な対応を インドネシア大統領が国民に呼びかけ

イスラム教の祭事期にジャカルタの夜市に繰り出した人々。インドネシアは人口の9割がムスリムとされる(ブルームバーグ)
イスラム教の祭事期にジャカルタの夜市に繰り出した人々。インドネシアは人口の9割がムスリムとされる(ブルームバーグ)【拡大】

 インドネシアは、1月27日にトランプ米大統領が出したシリアなど7カ国からの一時的な入国を制限する大統領令を受け、ジョコ・ウィドド大統領らが国民に冷静な対応を呼びかけた。国営アンタラ通信などが報じた。

 米国が一時入国制限措置の対象とした7カ国(シリア、イラン、イラク、イエメン、スーダン、ソマリア、リビア)は、いずれもムスリム(イスラム教徒)が多数派を占めるイスラム圏国家とされる。インドネシアは、総人口2億5000万の9割がムスリムということもあり、大統領令は驚きをもって迎えられた。

 米国の大統領令を受け、ジョコ大統領は1月30日、国民に対して声明を発表し、インドネシアが米国の指定する7カ国に含まれていないことから「直接的な影響はない」と言明。国民に冷静な対応を求めたうえで「インドネシアは憲法にもある平等と正義の精神を支持する」と述べた。

 インドネシアのルトノ・マスルディ外相によると、同国政府は大統領令の発表後、ワシントンやシカゴの同国領事館など米国内6カ所で24時間態勢のホットライン・サービスを開設し、相談に備えたという。

 同相はまた、米国に滞在中のインドネシア国民に対し、米国の法律を尊重し、秩序を守って行動するよう訴えた。

 ヨシフ・カラ副大統領も米国の大統領令について言及した。インドネシアへの影響は軽微にとどまっても米国内のムスリム全体に対する不信感を助長する恐れがあると語ったほか、トランプ大統領の移民政策を受けてアジアへの難民が増加するとの見通しも示した。

 同大統領令は、今月3日に米連邦地裁が差し止めを命令し、9日には連邦控訴裁がこの命令を支持した。(シンガポール支局)