大学の授業料免除など教育無償化の実現に向け、与野党が財源を確保する「教育国債」創設の検討を始め、財務省が警戒を強めている。国債を増発すれば将来世代の負担が増えかねないとみているためだ。教育無償化には安倍晋三首相が意欲をみせているが、憲法改正と絡み、政治的な駆け引きの材料になる懸念もある。
21日に開かれた衆院予算委員会公聴会で、日本維新の会の伊東信久氏が、教育無償化の財源捻出について「行財政改革と教育国債を二本立てで考えたい」と発言した。一方、公述人の東大大学総合教育研究センターの小林雅之教授は高等教育無償化について「全ての人が高等教育に進むわけではなく、公平性の問題が残る」と述べた。
教育国債は、インフラといった資産をつくる公共事業に使途を限定する建設国債のような形式が想定される。教育は人への投資で、無形の資産を生み出すとみなせば、教育に限って国債を発行し、財源を賄えるという考え方だ。
自民党は今月、教育無償化の財源を議論する特命チームを立ち上げた。教育国債の新設などについて検討し、6月をめどに提言をまとめる方針。民進党も、同じような「子ども国債」を訴えていた経緯がある。