内閣府が28日発表した上場企業アンケートによると、製造業による海外での現地生産比率は2015年度に21.9%となり、前年度から0.3ポイント上昇した。集計結果が残る1986年度の2.6%からほぼ一貫して上昇を続け、約30年間で比率は8倍以上に達した。
生産国別の比率は公表していないものの、日本企業が輸出を現地生産に切り替える動きは米国を含め各市場に広がっている。日本などを名指しして貿易不均衡の是正を求めているトランプ米大統領に対し、一定の反論材料となりそうだ。
上場企業とは別に中堅・中小企業を対象に今回から始めた調査では、15年度の海外生産比率は4.0%にとどまった。現地生産する理由として、上場企業が「旺盛な需要」を最も多く挙げたのに対し、中堅・中小企業は「労働力コストが低い」点を挙げ、考え方の違いも浮かび上がった。
上場企業の調査では、輸出企業が採算の取れる対ドルの円相場は平均で1ドル=100円50銭。1年前の前回調査(103円20銭)から5年ぶりに円高方向に動いた。18年1月ごろに予想する円相場の水準は平均で1ドル=113円10銭だった。
今後3年間で設備投資を増やすと回答した企業は全産業の68.9%、雇用者を増やす企業は67.8%で、いずれも前回調査より増加した。
調査は17年1月に全国で実施し、上場企業は1168社、中堅・中小企業は3313社から回答を得た。