トランプ大統領演説 法人税下げ競争、日本企業の海外移転加速も

2017.3.2 06:20

 トランプ米大統領が2月28日の施政方針演説で、法人税減税など「歴史的な税制改革」の実施を表明した。自国企業を過度に保護したり、輸入品に課税したりするような仕組みになれば、日本にとっては対米輸出額の減少などを招く恐れがある。欧州連合(EU)離脱による企業流出を防ぐため英国も法人税率の引き下げを進めており、各国で法人税引き下げ競争が激化する懸念も拭えない。

 トランプ氏は演説で具体的な税制に触れなかったが、連邦法人税の税率を現行の35%から20%程度に引き下げる一方、米国内の企業が輸出で得た収入を免税し、輸入品に最大約20%を課税する「国境調整」の導入を検討しているとみられる。海外移転した企業を米国に呼び戻し、雇用拡大を図るためだ。

 だが、国境調整が導入された場合、米国が貿易赤字を抱える日本への影響が予想される。SMBC日興証券の試算では、国境調整の導入で日本の米国への自動車輸出は年172万台から82万台に半減。輸出金額は2.7兆円、実質国内総生産(GDP)は約0.6%減少する見込みだ。

 法人税率の引き下げ競争が起きれば、日本企業が海外移転を加速し、産業の空洞化につながりかねない。トランプ大統領の就任後、多くの日系企業が米国への追加投資を表明。28日の施政方針演説でもトランプ氏は米国で総額500億ドル(約5兆6600億円)の投資を決定したソフトバンクグループの名前を挙げ、改めて米国への投資を最優先する姿勢を示した。

 もっとも、一方的に輸出が有利になる課税は世界貿易機関(WTO)のルールに違反する可能性が高く、税制を最終的に決める米議会との調整も難航が予想される。麻生太郎財務相は法人税減税について「直ちにどうするとは考えていない」と静観する構えだが、米国の税制改革の中身次第では日本としても影響回避に向けた対策が求められる恐れがある。(西村利也)

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