「交通戦争」プノンペンで路線拡大 公共バス運営改善へ日本が援助 (1/3ページ)

プノンペンの街を走る公共バス(JICA提供)
プノンペンの街を走る公共バス(JICA提供)【拡大】

  • 停留所でバスを待つ人の姿はまばらだ(JICA提供)

 カンボジアの首都プノンペンで日本の援助による公共バスの運営改善プロジェクトが1月に始まった。経済発展とともにプノンペンの渋滞は悪化する一方で、交通事故の被害も増えている。公共交通の導入が事態改善の切り札とされているが、都市化のスピードになかなか追いつけない。

車両やインフラ整備

 プノンペン都では現在、都のバス公社がバス3路線(総距離54キロ)を運行している。バス公社は日本の国際協力機構(JICA)の援助による社会調査などを経て2014年に設立された。

 しかし、路線や走行区間が短く利用しにくいのが実情だ。プノンペン住民の移動手段は、自家用車、バイク、バイクに座席付きの荷台をつけた「トゥクトゥク」と呼ばれる乗り物が中心で、基本的に出発点から目的地まで直行する。乗り合いバスを利用する習慣がなく、運行を始めたバスも認知度はいまだに低い。

 さらに、バス車両の故障や交通渋滞により、運行率は各路線とも60~80%と、運行時間が安定しないことも利用しにくい一因だ。バス公社の15年の売り上げ実績は約50万ドル(約5658万円)で、年間の運行コストの約170万ドルを大幅に下回っており、このままでは事業の継続が難しい。