中国国内で奢侈(しゃし)品・贈答品の販売が回復している。習近平政権下では倹約を旨とする「8項規定」が定められ、厳しく守られてきたはずだが、監視の目が緩んできたのだろうか。
上海では高級品を売っている店の客が昨年後半から増えているという。スイス時計の専門店では販売が急速に回復しているし、ルイ・ヴィトンとかバーバリーといったブランド品の売れ行きも好調だ。
贈答品の目玉商品である茅台(マオタイ)酒の販売価格も上昇している。春節(旧正月)期間中に北京市内の10カ所の販売店を調べたところ、平均して春節前よりも3割以上、販売価格が高くなっていた。中には標準品の「飛天」(500ミリリットル)が1本2000元(約3万3000円)を超えているところもあったらしい。
「飛天」は数年前に投機の対象となり、2000元を超えたことがあったが、その後は落ち着いていた。今回はそれ以来の高値である。店の多くは品切れか在庫が少なくなっている。
倹約令が敷かれた後、富裕層は批判を恐れ、海外に出向いて奢侈品を買う傾向が強まった。奢侈品の研究・コンサルティング機関である財富品質研究院の推計によると、2015年は国内での奢侈品購入が258億ドル(約2兆9368億円)と低調だったのに対し、海外では910億ドルにも達していた。
海外ブランドの場合、海外と国内での価格差が大きいことも原因の一つだった。ある調査によると、価格差は酒類で6割強、腕時計で3割強もある。衣料品や化粧品はそれほどでもないが、割高なことに変わりはない。