金融庁は8日、十八銀行(長崎市)とふくおかフィナンシャルグループ(福岡市、FFG)の経営統合にからみ、地元企業向けの説明会を開き、効率化で生まれる経営資源の余力を地域経済の活性化につなげるべきだとの見解を示した。地銀再編が具体化した地域でこうした説明会を開くのは異例。金融庁は地銀が統合して収益力を高めれば地元企業のメリットにもなるとみており、地元の理解を得た健全な再編を後押ししたい考えだ。
金融庁で地域金融を統括する西田直樹審議官は8日、長崎市内で開いた「地域金融行政に関する説明会」で、「地域に根ざした金融機関は経営資源を地域企業の活性化に十分に振り向け、貢献することが強く求められる」と述べた。
十八銀とFFGは当初、4月に経営統合する計画だったが、独占禁止法に基づく公正取引委員会の審査が長引いていることから10月へ延期した。地元企業の間では、経営統合によって競争が減り、貸出金利が高止まりしかねないなどの不安が広がっている。
金融庁には、説明会で統合が地元経済のためになると理解を求め、不安を解消する狙いがあった。
金融庁は「統合は地銀の経営判断で当局が促すものではない」(幹部)との立場で、こうした説明会を開くのは異例だ。安倍晋三政権が掲げる地方創生に、地銀再編を通じた金融仲介機能の改善は欠かせない。菅義偉官房長官は8日の記者会見で、説明会は「地域金融に対する金融庁としての考え方を示し、安心していただいた」と話した。