20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が17日、ドイツで開幕する。トランプ米政権が発足して初めての財務相会合で、保護主義的な姿勢を強める米国の出方に関心が集まっている。議論の見通しを前財務官の山崎達雄氏に聞いた。
今回の会合は、トランプ政権から初めて、ムニューシン財務長官が参加する。日本は日米首脳会談などを通じてトランプ政権とコミュニケーションをとっているといえるが、他の参加国は知らないので、不安に思っている。
米国は大型減税やインフラ投資について、どのタイミングでどういうことができるか説明すべきだ。中でも導入の可否を検討している「国境税」は、米国内だけでなく日本を含め外国にも大きな影響が出る。世界経済にマイナスにならないようにやってもらいたい。
欧州問題も話し合われる見通しだ。欧州はドイツの独り勝ちで、欧州連合(EU)内には不満があり政治的に不安定になっている。今回はドイツが議長国なので、何かしら方向性を示してほしい。過剰生産などの構造問題が手つかずの中国もテーマになる。
世界経済全体は緩やかに回復しているが、こうした問題があり安泰ではない。だからこそ会合では、バランスのとれた強い成長のため、財政、金融、構造改革を総動員するという従来方針を新しいメンバーと再確認することがポイントだ。為替や貿易もこれまでの考え方を踏襲するだろう。
日米財務相会談では、為替は大きな問題にならないと思う。むしろ、4月の経済対話のキックオフになる。ともにインフラ投資などの成長戦略を進めることで、お互いにとってプラスになる。信頼関係を深めるいい機会になる。(中村智隆)