【ワシントン=黒瀬悦成】米トランプ政権は21日、テロ対策の一環として、中東・北アフリカ地域を拠点とする9つの航空会社に対し、米国行き直行便に携帯電話よりも大きい電子機器の機内持ち込みを禁止すると発表した。同地域の8カ国の10空港からの1日計約50便が影響を受ける。英政府も同地域の6カ国から英国への直行便に同様の規制を実施すると発表した。対象となった航空会社では客離れが懸念され、波紋が広がるのは確実だ。
米政府は今回の措置を米東部時間21日午前3時に対象の各社に通知し、96時間後までに実施するよう要請。携帯電話は機内に持ち込めるものの、ノートパソコンやカメラ、ゲーム機器などは搭乗手続きの際、預ける荷物に入れることを義務づけられる。
米国直行便が出発する10空港がある8カ国は、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、カタール、ヨルダン、クウェート、モロッコ、サウジアラビア。
米政府当局者はこれらの空港について、乗客や荷物の検査体制が十分でないほか、テロリストが空港職員として潜入している可能性があるとしている。また、テロ組織がパソコンや電池の中に爆発物を仕込んで旅客機を爆破することを狙っていると説明。今回の規制は「当面の間続く」としている。