英離脱通知でEU前のめり、EPAは追い風も進出企業への不利な扱いを注視

2017.3.30 05:50

 英国が欧州連合(EU)に離脱を通知することで、日本の通商外交も正念場を迎える。英国進出企業が欧州市場で不利な扱いを受けないよう目を光らせる必要がある一方、EUとの経済連携協定(EPA)交渉では域内の結束を確認したい欧州側が妥結を急いでおり、有利な条件に持ち込めるまたとないチャンスとなる。

 「離脱の否定的な影響を最小限にとどめ、国際経済の枠組みの変革が日英や欧州双方にウィンウィンとなるよう最大限の努力をする」

 世耕弘成経済産業相は29日、進出企業を集めた意見交換会でこう強調した。

 最大の懸案は離脱交渉と並行する英EUの自由貿易協定(FTA)交渉だ。EU域内に輸出する英国製品に関税が発生したり、通関手続きが煩雑になったりする恐れがある。また、仮に関税がゼロになっても“英国製”を判定する現地調達の規定次第では恩恵を受けられないこともあるなど、交渉内容に注意が必要だ。

 政府は日本企業に不利益が生じないよう英国政府や欧州委員会に働きかける。

 一方、佳境を迎えた日本とEUのEPA交渉では、英国離脱が追い風になる。

 工業製品の分野で大半の関税を撤廃した日本は手持ちのカードが少なく、EUが設定した10%の自動車関税撤廃を勝ち取るため苦しい交渉を強いられてきた。

 だが、英国離脱やトランプ米政権の発足に触発された保護主義の高まりで、EUは加盟各国の連帯と自由貿易の推進を再確認する必要に迫られている。日本とのメガFTA成立は、EUが依然求心力を保つことを内外に示す絶好の案件だ。

 「EUは合意に前のめりだ」(交渉筋)とみられるなか、日本側も事務方の責任者である首席交渉官に“重量級”の鈴木庸一前駐フランス大使を充てるなど体制を整える。目指す年内の大枠合意に向け、4月3~5日に開かれる首席交渉官会合が焦点になる。(田辺裕晶)

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