民泊仲介サイト世界最大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)が中国に熱い視線を注いでいる。投資や従業員を増やすほか、サービスの幅も拡大。3億人のミレニアル世代に個人旅行が広まる巨大市場を狙う。
同社はこのほど、中国のブランド名に愛を込めて歓迎し合うという意味の「愛彼迎(Aibiying)」を採用した。投資額を2倍に、従業員を3倍に増強する計画も明らかにした。中国は旅行者数で世界最大の市場だ。
チェスキー最高経営責任者(CEO)によると、同社は中国内の物件登録数を2016年に倍以上の約8万件に増やした。今年はコンサートチケットやレストランの予約ができる新サービス「トリップ」を上海で提供する計画。さらにオペラの舞台裏見学といった地域のイベントを予約できる「エクスペリエンス」も3月に開始した。
中国では、3億人のミレニアル世代に個人旅行が広まりつつある。チェスキー氏によると、エアビーの中国人ゲストは16年に146%と急激な伸びを示した。
上海でインタビューに応じた同氏は「中国には、これまでとは違う方法で世界を見たいと考える、全く新しい世代の旅行者がいる。われわれは愛彼迎やトリップが、彼らが世界中の人々やコミュニティー、地域と出合うきっかけになることを望んでいる」と期待する。
エアビーアンドビーの企業価値は300億ドル(約3兆3400億円)を超える。関係者によると、最近は黒字転換の達成を追い風に、アジア進出の勢いを強める。08年の創業以来、同社は30億ドル超を調達し、世界的な総合旅行会社を目指している。