6、7日はトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の米中首脳会談、18日には麻生太郎副総理・財務相とマイク・ペンス米副大統領による日米包括経済対話が開かれる。トランプ政権の通商政策が本格化するわけだが、歴代政権の政策との違いは通商を安全保障・外交にリンクさせている点である。従来のような貿易交渉だと決めてかかるわけにはいかない。
そう思った理由はほかでもない。先月末に布告した「重要貿易赤字に関する包括的報告」に関する大統領令の中身である。多くのメディアは貿易赤字削減が狙いだと解説しているが、冒頭で「自由かつ公正な貿易は国家の繁栄、安全保障および外交に不可欠だ」と強調。さらに、相手国との通商関係が製造業および防衛産業に及ぼす影響や、国家安全保障の妨げになる貿易慣行を突き止めるという。
この大統領令を含むトランプ通商路線については、米国の雇用を奪う貿易赤字削減のために、主要貿易赤字相手国である中国、日本、ドイツなどの貿易障壁を調べ上げて、2国間通商交渉を求め、要求に従わなければ米通商法に基づいて制裁する、というのが大方の解釈だ。