【マネー講座】《外貨の活用》(2)〈円貨保有のリスク〉後悔しない資産運用のために (4/4ページ)

 外貨での資産運用は、保有資産を増やすための一つの処方箋です。主な効能として、(1)期待収益率が高い、(2)投資できるファンドの幅が広がる、(3)円資産との分散効果が期待できる、があります。一方、為替レートが円高に進むと、円建てで損失が出る可能性があるという副作用もあります。外貨を現金で持つと、収益率は為替レートの変動のみとなるため、円高が即、円貨での損失につながります。しかし、外貨を株式や債券などに投資することで、資産の運用益が為替による損失を一定程度埋めることができます。円から外貨に移すだけではなく、外貨に換えた資金を、収益が見込める資産で運用することが大切です。

 国内のデフレが長引く中、日本企業の多くは、成長が見込める海外に販売・生産拠点を広げ、日本企業の海外売上高比率は売上高全体の6割近くに達しました。低収益にあえぐ家計の資産運用もグローバル化が進んで良さそうなものですが、個人金融資産に占める外貨資産の割合はわずか3%に留まっています。

 難しそう、あるいはリスクが高そう。だから、外貨を敬遠するという方もいるでしょう。私は縁あって10年以上フランス車に乗っていますが、フランス車やイタリア車など、いわゆるラテン系のクルマは、日本車に比べて壊れやすい、整備費が高いといったイメージを持たれがちです。しかし、日本車のディーラーを通じて買えば、整備や保証は日本車並みのサービスを受けられるため、安心して乗ることができます。外貨資産の運用も同じです。円高になって損をしたくない、外貨での運用は難しそうで敷居が高いという先入観にとらわれずに、外貨に詳しいアドバイザー、つまり「外貨のプロ」がいる銀行で相談すれば、きっと良い投資アイデアにつながります。

 フランス車の美点は、長距離でも疲れにくいシートと、路面の段差をやんわりといなす、しっとりとした足回りですが、短時間の試乗ではその良さになかなか気付けません。外貨での資産運用も、長期間じっくりと腰を据えてはじめて、その効能が分かるのだと思います。次回以降、外貨の世界について、様々な視点から紹介いたします。

(※マネー講座は随時更新。次回も「外貨の活用」をテーマに掲載します)

【プロフィル】田中正秀(たなか・まさひで)

田中正秀(たなか・まさひで)SMBC信託銀行プロダクト統括部 ポートフォリオ・ソリューション室
シニア・ポートフォリオ・アナリスト
一橋大学法学部卒業。みずほ信託銀行で、エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネー ジャー、商品企画、運用パフォーマ ンス評価・リスク管理など、年金資産運用にかかわる幅広い業務に従事。2016年8月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員、不動産鑑定士補。

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