□スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹
日本の消費財メーカーが、アジア新興国市場で売り上げを拡大させるために行わなければならないことについて、前回は「並べる力」を解説した。今回は「選ばれる力」を解説する。
前回は、消費財メーカーにとって最も重要なのは「いかにして多くの人に、早い頻度で繰り返し買ってもらえるか」が重要であると指摘した。
競合がひしめくアジア新興国の小売市場で、自社の商品が他社の商品以上に選ばれることこそが「選ばれる力」だ。そもそも、多くの小売り店舗に並べる力がなければ、消費者は物理的に買うことができない。
しかし、いくら多くの小売り店舗に並べても、「選ばれる力」がなければ、誰もその商品を手に取ってくれない。手に取りたくなる仕掛けこそが、「選ばれる力」なのである。
実際に、日本の消費財メーカーの中にも、並べる力の重要性を理解し、自社直販のセールス体制と、代理店や卸売業者などのディストリビューターを活用したセールス体制を整え、近代的小売りと伝統的小売りの両方に配荷を進めた企業は多く存在する。