FIT買い取り額、30年度倍増 政府想定1兆円上ぶれ4.7兆円 国民の負担増大

 太陽光など再生可能エネルギーの導入を促進するために、電力会社が発電事業者から一定の価格で買い取る固定価格買い取り制度(FIT)について、2030年度の買い取り総額が16年度比のほぼ2倍の約4兆7000億円に上ることが21日、電力中央研究所の試算で分かった。政府想定を約1兆円上回る。試算では、買い取り費用の増加で、国民負担の増大は避けられないとしている。

 電中研によると、制度初期に認定された割高な事業用太陽光発電の導入比率が高いことが要因。「電力会社との接続契約の状況を分析したところ、割高な案件が多く残り、政府の想定を上回る可能性が高い」(朝野賢司主任研究員)としている。

 電力会社は、家庭の太陽電池や事業者の太陽光発電所などから引き受けた電力の買い取り費用を「賦課金」の名目で電気代に上乗せして、徴収している。16年度の総額は1兆8000億円で、平均的な家庭で月675円を負担している。

 試算では、30年度の賦課金総額は、3兆6000億円と倍増するとした。朝野氏は「『コストが安くなる』といわれながら、FITは推進されてきた。国民負担が減らないのなら、効果を検証する必要がある」と指摘する。

 FITをめぐっては、制度当初の高い買い取り価格で認定を受けながら、太陽光パネルなどの設備の値下がりを待ったり、「高値で売電できる権利」として転売目的で保有したりして、発電が行われない未稼働案件が問題となっている。

 3月末までに電力会社と接続契約を結ばないと原則的に認定が失効する改正FIT法が4月1日、施行された。経済産業省は21日、施行に伴い、最大で45万6000件の未稼働案件が失効したとする推計を発表した。