温暖化で環境省と主導権争い 経産省、世界視野の長期戦略策定 (1/3ページ)

全会一致で「パリ協定」の批准承認案を可決した衆院本会議=2016年11月
全会一致で「パリ協定」の批准承認案を可決した衆院本会議=2016年11月【拡大】

 経済産業省は14日、2050年までに必要な温暖化対策の長期戦略に関する報告書をまとめた。途上国への技術協力や投資促進によって、50年時点で、世界の温室効果ガスの排出量の15%以上に当たる97億トンが削減できると試算、世界での排出削減への貢献を前面に打ち出した。一方、3月に独自の戦略を公表した環境省は国内での大幅削減を求めており、温暖化対策をめぐる両省の主導権争いが激化している。

 経産省の戦略は、温暖化対策が先行する国内での削減では限界があるとして、世界全体への貢献を重視。温室効果ガスの大幅削減と経済成長の両立を目標に掲げる。自動車など、製造段階よりも使用する間の排出量の割合が多い製品などを念頭に、省エネ性能の高い製品を開発し、普及させる方が世界全体の排出量を減らすことができるという考えだ。

 具体的には、政府開発援助(ODA)などを通して、燃料電池車や高効率の太陽光発電などの輸出を後押しする。このほか、飛行機や自動車の軽量化につながる炭素繊維の輸出や中東の油田などで、二酸化炭素(CO2)を回収・貯留するCCS施設を建設するなど、製造業や建設業など、日本の強みを生かしながら、産学官の連携による技術開発を促す政策の必要性を強調している。

 経産省幹部は「国内で目標を達成しようとすれば、鉄鋼など、排出量の多い重化学工業は立ち行かなくなる。その分が温暖化対策の不十分な途上国で生産されることになれば、世界の排出量は増える」と強調する。報告書では、「国内排出量の削減に固執し、経済成長やイノベーションを停滞させ、低炭素技術などを世界に供給する役割を放棄するのは本末転倒」と、環境省の姿勢を暗に非難している。