ふるさと納税返礼品「競争自粛」要請に各自治体 寄付減少不安も見直し検討 (3/5ページ)

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 □保坂展人・東京都世田谷区長

 ■2年後の減収は100億円超えも

 ふるさと納税により区の2017年度の税収は約30億円減る。この勢いだと2年後にはリーマン・ショック時の減収額に匹敵する100億円を超え、公共施設の運営に大きな影響を及ぼし、区民の生活に直結する行政サービスの維持が困難になる恐れがある。

 減税の上限を引き上げ、手続きを簡素化する前の影響額は2億6000万円だった。この程度なら何も言わない。ただ、制度変更後の16年度は16億5000万円に上り、保育園を5つ建てられる額に膨らんだ。

 減収額が最多とされている横浜市などは、減収分の75%を地方交付税で補えるが、東京都23区は交付税がないので純粋な減額になる。

 区の人口は11~16年に約3万6000人増。この5年間で約4600人分、保育園を増やした。高齢者の約3割が単身で暮らし、孤立させない地域づくりなど課題は山積している。オーバーヒートした去年から今年にかけての返礼品競争は「ふるさと納税バブル」と言える。国の規制は必要で、変更前の制度に戻すべきだ。

 故郷や災害の被災自治体に納税額の一部を還元できる制度自体は画期的でやめるべきとは思わない。

食や水など、大都市の生活は地方に支えられている