「決して許せない」怒り心頭の安倍首相は失言直後に更迭決断していた 早期決着も問われる任命責任 (1/2ページ)

自らの発言について陳謝する今村雅弘復興相=25日午後、東京都千代田区(古厩正樹撮影)
自らの発言について陳謝する今村雅弘復興相=25日午後、東京都千代田区(古厩正樹撮影)【拡大】

 今村雅弘復興相の辞任が事実上決まったのは、今村氏が25日夜、自民党二階派のパーティーでの講演で失言した直後だった。

 「首相として、おわびをさせていただきたい」

 安倍晋三首相は同じパーティーのあいさつ冒頭で、今村氏の発言に不快感を示すと同時に東北の人々に即座に謝罪した。これは、今村氏をもうかばうつもりはないとの意思表示だった。

 「今回はアウトだった。被災者にとって、決して許せない言葉だった」

 今村氏の後任に、吉野正芳・衆院東日本大震災復興特別委員長を選び、事態の早期決着を図った後の同日深夜、安倍首相は周囲にこう語った。

 もともと安倍首相は、平成24年12月の第2次安倍内閣発足時の記者会見では次のように述べ、激烈な被害を受けた被災地の復旧・復興に全力を尽くす覚悟を表明していた。

 「閣僚全員が復興相であるという意識を共有し、(被災地再生に)あらゆる政策を総動員する」

 にもかかわらず、肝心要の復興相当人が内閣の方針を理解していないかのような失言をしたのだから、怒り心頭だったのだ。

 安倍首相自身、一議員として雌伏中だった震災発生直後の23年3月中から、自費で救援物資を集めて自らトラックで福島県や宮城県、岩手県と幾度も被災地をめぐり、膝詰めで被災者の話を聞き、その要望の実現を図ってきた。

「挑発に見事に乗ってしまった。もっとうまくいなさなきゃダメだ」