伝統消えゆくタイの少数民族 北部の山に住む人々「モン族」 (2/4ページ)

2017.5.2 05:00

モン族が暮らす村。タイ政府が電波塔を建設したため、今では携帯電話も通じる=タイ最北部チェンライ県(小堀晋一撮影)
モン族が暮らす村。タイ政府が電波塔を建設したため、今では携帯電話も通じる=タイ最北部チェンライ県(小堀晋一撮影)【拡大】

  • 学校の校庭で遊んでいたモン族の子供たち。笑顔が印象的だ=タイ最北部チェンライ県(小堀晋一撮影)

 ◆200年前に南下

 タイ最北部チェンライ県の空港から陸路で1時間半ほど。山頂からかすかにメコン川を見下ろせる高地にモン族の村はある。中国南西部に起源を持つモン族がタイ領内に南下してきたのは約200年前と歴史は比較的新しい。中国国内では「苗族(ミャオ族)」と呼ばれ、漢民族からはたびたび蔑視されてきた。タイ領内に移動してからも、「メーオ族」という呼び名で嘲笑の対象とされた。彼らは自らのアイデンティティーをもって「モン」と自称している。

 高地の尾根沿いを移動しながらの焼き畑農業が伝統の生業で、鮮やかな刺繍(ししゅう)と金属で飾り付けた民族衣装が有名だ。漢民族の文化を引き継ぐため、母系のタイ族とは異なり父系社会を組織する。住居も他の山岳民族などに多い高床式ではなく、土間式の住居に大家族が暮らす。風貌は北東アジアのモンゴロイドに似ている。

 タイ北部に移り住んだモン族などが現金収入を得るために手を染めたのが、アヘンの原料となるケシの栽培だった。焼き畑以外に目立った産業のない山での暮らし。麻薬組織の斡旋(あっせん)の下、タイ、ミャンマー、ラオスの国境に広がる「ゴールデントライアングル」で違法薬物が栽培・精製されていたことは、国際的にも大きな問題となった。このためタイ政府は、これら地域での商品作物の栽培を奨励。現在はほとんどの農家が作物転換し、付加価値の高い高原野菜などを栽培するようになった。

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