【ハノイ=田辺裕晶】アジア太平洋地域の貿易相らがハノイに集まった一連の会合は、米国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)離脱で危機にひんした自由貿易体制を正常な軌道に戻す重要な一歩だ。世界の成長を支えるこの地域が結束して保護主義に対抗すれば、米国を“正気”に戻す近道になる。域内の経済大国として議論を主導する日本の手腕が問われる。
「(TPP発効の)機運を失わないよう、議論を前に進める必要性は間違いなく各国共通した思いだ」
石原伸晃経済再生担当相は20日、米国を除くTPP参加11カ国(TPP11)各国の貿易相と相次いで会談した後、TPPで合意した高水準の貿易ルールを実現することで各国と意見が一致したと説明した。
ハノイでは21日から、TPPと東アジア地域包括的経済連携(RCEP)という2つの巨大自由貿易協定(メガFTA)参加国が相次いで閣僚会合を開く。特に米国の離脱で発効できなくなったTPPは、11カ国が結束するか崩壊するかの瀬戸際に立たされている。