【安西洋之のローカリゼーションマップ】
「西洋文化圏の歴史を振り返ると、何か状況がひっ迫すると、人は外に出た。旅に出かける。一方、東洋では同様な事態を前にすると、その場で考え込む、という傾向がありますね」
モンツェ・ブランコはこう語る。彼女はスペイン人で、現在、ミラノのコ・ワーキングスペース「Impact Hub」で運営側として働いている。ソーシャルイノベーションに関心が強い。
バルセロナの大学で冒頭のような研究をした。その後、ミラノで五感のデザインをテーマにマスターを取得し、大きな財団で地域リサーチなどの仕事をしたが、自分の役割が細かく決まっていて「もっと手を広げたいが、業務区分から枠を越えにくい」と実感。起業化精神の発揮のしようがない、ということだ。
そういう時、2009年にImpact HUBをミラノで立ち上げるとの構想に出会った。ロンドンからスタートして世界中にネットワークを広げている。この環境が彼女にはぴったりだった。同時に、今日までの間に組織文化の変化を研究して博士号もとった。イベントのファシリテーターも抜群で、とても小気味の良い質問やコメントをする。
そんなモンツェにイタリアの文化をどう見るか、聞いてみた。
「南ヨーロッパの国々に共通なのは、モノゴトへの定義が『緩い』ということでしょう。同じヨーロッパでラテン圏。言葉も何もかも表面的には凄く似ています。が、実は大きな文化的なギャップがあります。
例えば、スペインとイタリアを比較すると、スペインの人は直接的な表現をしがちですが、イタリアの人はレトリックを多用する、という違いがあると思います」
イタリアの人の説明は迷路のように見えることもあるが、「緩い」と「レトリック」が分かりにくさを作っていると解釈できる。