アジアではこれまでシンガポール港や韓国・釜山港の比率が高かった。特に釜山港は政府が率先してコンテナ港整備に乗り出したこともあって、北東アジアではハブ港の位置を不動のものにしていた。中国の青島港や大連港などからもいったん、釜山港に貨物を持っていき、そこから世界に運び出していくケースが多かった。日本も釜山港への依存率が高かった。
だがこの釜山港が昨年は大手海運会社である韓進海運の破綻に伴うトランシップ貨物の減少が響いて、マイナスの伸びとなり、コンテナ取扱量で6位にとどまった。上海港にしてみれば、ハブ港奪還の願ってもないチャンスといえよう。
もっともハブ港になったとしても、中国の船会社が貨物を独占できるわけではない。中国の荷主は最近、コストなど条件がよければ、中国の船会社にこだわらなくなってきたからだ。
この春には商船三井が巨大コンテナ船を就航させた。一度に運べるコンテナは約2万個と世界最多である。そしてその船をまず洋山港に持っていった。洋山港から東南アジア、欧州につなぐ航路をドル箱に育てたいとのもくろみである。各国の船会社の間で、中国関連貨物の争奪戦が一段と激化していこう。