日欧EPA交渉 国内農業団体は反発 輸入増加に警戒感強める

 大詰めを迎えた日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉では、ワインだけでなく豚肉なども関税引き下げの対象になる見通しだ。国内の農業団体は15日、十分な関税障壁を確保するよう求める要望書を自民党に提出し、安く高品質な欧州産の輸入増加に警戒感を強めている。

 「欧州は食品に強く、ワインも世界に名が通ったブランドを持つ。国境措置を当面の間は守ってほしい」

 全国農業協同組合中央会(JA全中)の奥野長衛会長は同日の自民党対策本部で、農家の競争力強化が進むまで関税を維持してほしいと訴えた。併せて出した要望書では、国内農業の継続に必要な国境措置や、農産物の輸出拡大に向けた条件整備などを求めている。

 一方、政府は国内の理解が得られるぎりぎりのラインとして、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の合意水準を念頭に置く。TPPでは豚肉の差額関税制度を維持し、安い豚肉に課す1キロ当たり最大482円の関税を50円に下げ、高価格帯の4.3%の関税を撤廃する。欧州にも同様の水準で調整している。

 また、TPPで各国に7万トン(生乳換算)の低関税輸入枠を設けた脱脂粉乳・バターも関税撤廃はせず同様の仕組みを準備する。ただ、EUは日本がTPPで現状維持を勝ち取ったカマンベールなどのソフトチーズも関税撤廃を求めている。国内の反発を抑えるため、全品目の平均で「TPP並み」に抑えられるかが勝負どころになりそうだ。