地球温暖化の国際枠組み「パリ協定」からの離脱と再交渉を表明したトランプ米大統領に反発が広がっている。世界第2位の温室効果ガス排出国である米国の不参加が長引けば協定の枠組みが崩壊しかねず、いわば地球の未来を“人質”にとった形。米国第一主義に対し他の各国は団結して立ち向かわざるを得ず、最大の排出国である中国の国際的な影響力をさらに強める皮肉な結果となりそうだ。
仏料理で祝杯
「彼ら(欧州)の出方次第だ。米国から学びたければテーブルに着くべきだ」
米環境保護局(EPA)のプルイット長官は2日の記者会見で、米国は既に温室効果ガス削減の技術開発で実績を挙げていると主張。欧州は再交渉に応じ、米国の国益に合わせて譲歩すべきだと開き直った。
プルイット氏はパリ協定離脱派の中心人物の一人。トランプ氏が離脱を表明した1日の夜、フランス料理で祝杯を挙げたという。
トランプ氏は1日の演説でパリ協定が「米国にとって公平なものになるよう再交渉する」と繰り返した。中国を念頭に「世界で最も多く汚染物質を出している国々」が米国より有利な立場を得ていると指摘し、離脱の正当性を主張した。
これに対し、ドイツやフランス、イタリアといった欧州主要国や国連気候変動枠組み条約事務局は「1国だけの要求でパリ協定を再交渉するのは無理だ」などとする声明を発表し、トランプ政権を強く非難した。