会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は28日、人工知能(AI)が2030年までに世界にもたらす経済効果は最大15兆7000億ドル(約1761兆3830億円)に達するとの調査結果を発表した。ロボット活用や自動化が進むと労働環境が失われ、世界経済に混乱をもたらしかねないとの懸案も出る中、「ゲーム・チェンジャー」というべき新技術の登場で生産性が向上し、消費が増大すると分析した。試算額は、中国とインド2国の現在の国内総生産(GDP)合計より大きい。
経済効果の内訳は、企業がAIを活用し自動化を進めた結果、増える労働力で生み出される直接効果が6兆6000億ドル、個人向け高品質製品の購入といった消費関連効果が9兆1000億ドルとなった。
調査によると、世界2位の中国経済はGDPに占める製造業の割合が高いため、AIからの恩恵を最も受ける立場にいる。
PwCのAI研究者、アナンダ・ラオ氏は「AIの中国への影響は巨大で、米国よりも広範に及ぶだろう」と指摘する。調査結果は、世界経済フォーラム主催の夏季ダボス会議(中国・大連)の中で明らかにされた。(ブルームバーグ Enda Curran)