【ワシントン=小雲規生】国際通貨基金(IMF)は23日発表の世界経済見通しで、2017年の世界全体の成長率を4月の前回見通しと同じ3.5%に据え置いた。トランプ政権の混乱が続く米国について見通しを引き下げる一方、日本に関しては「個人消費や投資、輸出が1~3月期の成長を支えた」と評価し、0.1ポイント上方修正の1.3%とした。金融市場が調整局面に入る可能性も指摘し、下押しリスクにも警鐘を鳴らしている。
IMFは17年の米国の成長率を0.2ポイント下方修正の2.1%と予測。2018年も同じ2.1%で、前回見通しから0.4ポイント引き下げた。18年については「財政政策が思ったほどには拡大されないと想定した」とし、トランプ政権の経済政策が期待外れに終わる可能性に言及した。
ユーロ圏は、ドイツやイタリアなどの好調さを受け、17年の成長率を0.2ポイント上方修正の1.9%とした。新興国は中国の見通しを0.1ポイント引き上げて6.7%と予測。「過剰生産能力の削減努力を含む供給面での改革」などが足下の好調さに貢献するという。
ただし先行きリスクに関連し、政策上の不確実性が大きいにも関わらず金融市場が安定していると指摘。「市場の調整で成長や景況感が下押しされる可能性がある」と強調した。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ局面にあることも「金融市場の想定より速いペースでの引き締め」につながるおそれがあるとしている。