【ニューデリー=岩田智雄】インド政府はこれまで、一帯一路に反対する姿勢を明確にしてきた。中国に対抗する形で、周辺国や日本とさまざまな回廊構想を打ち上げている。
今年5月、北京での一帯一路に関する国際協力サミットフォーラムをボイコットし、パキスタンと領有権を争うカシミール地方を通る「中パ経済回廊」が一帯一路に含まれていることなどを暗に批判した。
ユーラシア大陸を横断する一帯一路を尻目に、中パ経済回廊の要衝であるパキスタン・グワダル港の西100キロにあるイランのチャバハル港を経由し中央アジアに至る大陸縦走の「南北交通回廊」構想実現に力を入れる。モディ印首相は昨年5月にイランを訪問し、両国はチャバハル港の開発のためインドが資金協力する文書に調印した。アフガニスタンを含めた3カ国は、アフガンとチャバハル港を陸路で結ぶ回廊整備でも合意している。
とはいえ、インドには、中国の強硬姿勢に単独で対抗する有効な手段は見当たらない。中国との話し合いによる穏便な解決を探るしかないのが現状だ。
中国がインドとの一切の交渉を拒否する中、27、28日に北京で行われる新興5カ国(BRICS)安全保障担当者会議の機会を利用し、中国を協議の席に着かせたい考えだ。