官民ファンドの産業革新機構が、海外企業を含めた国内外の事業再編による日本企業の海外展開を支援する新チームを設置したことが28日までに分かった。機構は今月、業務開始から8年を迎えた。支援した中に不振企業があるため「救済ファンド」と指摘されることもある。新チームを活用して海外戦略に活路を見いだす。
新設したのは「グローバル産業再編チーム」で、勝又幹英社長がトップに就いた。インフラ輸出のように複数の日本企業が海外に進出し、競合しているケースなどを想定。国内事業や企業を統合した「日の丸連合」で海外買収に打って出る戦略などを検討している。進出先はアジアなど新興国を見込み、最大数千億円規模の大型案件となる可能性もある。
志賀俊之会長兼最高経営責任者(CEO)は「経営が悪化し統合して生き延びる『守り』ではなく『攻め』の統合だ。機構の集大成として推し進める」と強調した。
機構は2009年7月に15年間を設置期間として発足し、出資金の約95%を国が拠出する事実上の「政府ファンド」。今年6月末までに計117件、9886億円の投資を決めた。