さらにトランプ氏は中国に対しては鉄鋼の輸入抑制策をちらつかせて過剰生産能力の削減を迫ってきたが、19日の米中包括経済対話は事実上の決裂。8月中旬にも始まるカナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉も、国際社会から「保護主義だ」との批判を浴びる中で難航は必至だ。
ただ、トランプ氏が議会や国内の産業界、貿易相手国からの反発で成果を残せない中でも、米国の株式市場は好調さを維持している。ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は28日、終値としての最高値を3日連続で更新。28日朝に発表された4~6月期の成長率は2.6%増と、堅調さを取り戻した。
しかしトランプ政権下で混迷が深まる米国政治への懸念は根強い。米銀大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者(CEO)は今月中旬の記者会見で、「米国は地球上で最も官僚的で、混乱した、もめ事の多い社会の一つに成り下がった」と吐き捨て、税制改革など実のある政策の実現を求めている。(ワシントン 小雲規生)