現在のソーシャルレンディングにおける法制度は債務者保護の観点(情報の秘匿性)が重視され、投資家保護の観点(情報開示の徹底)が軽視された状態になってしまっている。どちらをより重視するかというのは難しい問題ではあるが、これだけ投資家の数が増えてきている以上、法制度の改訂も視野に入れた、幅広い議論が求められている。
▽税に関する課題
ソーシャルレンディングは税制度においても課題を抱えている。
所得税には総合課税と分離課税があるが、ソーシャルレンディングの分配金は総合課税に該当する。
総合課税では収入それぞれの所得を合算し、各種控除額を引いた金額に、所定の税率を掛け合わせて所得税を計算する。累進課税のため、ソーシャルレンディングの分配金額が増えれば増えるほど支払う税額も増えることになる。
一方、株式投資や投資信託の売却益は分離課税である。分離課税は収入の種類ごとに所得税を計算する。また税率の上限も決められていることから大きな金額を運用しても所得税が高騰する心配がない。そのため、ソーシャルレンディングの所得税が分離課税になることを望む投資家は多い。