【マネー講座】《株式の魅力》(4)〈株価分析と投資スタイル〉水準の評価とトレンドの見極め (3/4ページ)

 先ほどの散布図では、自動車のPBRが市場平均より低くなっています。しかし、ROEは市場平均を上回っており、利益を生み出す力が弱いわけではないため、将来的に再評価されることも期待できます。12年前半には、為替が80円/ドルと歴史的な円高水準にあり、自動車メーカーの業績不透明感が強く、自動車株の多くがPBR1倍程度でした。しかし、12年後半からは、アベノミクスへの期待から円高是正が進展し、自動車株の再評価が始まりました。12年9月末から13年末までの期間には、TOPIXも76%上昇しましたが、自動車に代表される「輸送用機器」指数(東証33業種)は104%上昇しました。

 ただし、市場平均や過去よりも指標の水準が低いということには理由があります。12年の自動車株では円高がその要因でした。その理由を明確にし、何が起きれば再評価されるのかをしっかりと認識して選定を行わなければいけません。為替以外にも、「不採算事業を売却し、資本の効率化を図っている」など、評価が変わる要因は数多くあると思いますが、ご自身でしっかりと想定しておくことが大切です。

 また、配当利回りを重視するのもバリュー投資の一種です。配当利回りとは、投資した金額に対して、1年間に受け取れる予想配当金の割合を示したものです。投資家にとっては、利益に裏付けられた配当収入の高さが株を保有する理由となるため、株価の下支え要因になることも多くあります。また、中長期的に配当を継続したり増額している銘柄は、背景として利益が安定成長していると評価され、株価が安定的な上昇傾向となることもあります。低金利環境が続く日本においては、株式を長期保有し配当をしっかりと受け取ることも有効な投資手法と言えます。

株価のことは株価に聞く、「テクニカル分析」を活用する

 一方、テクニカル分析とは、「株価は投資家心理なども株価形成に反映され、こうして決定された市場価格は全ての情報を織り込んでいる」という前提のもと、過去に発生した株価の動き方をもとに、将来を予測する分析手法です。

移動平均線にも注目しよう