サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトの4カ国が6月5日にカタールとの断交や他の措置を打ち出して2カ月余りが経過した。この間クウェートや欧米、トルコが調停を行ったが実を結ぶことなく今日を迎えている。
約9週間を振り返れば、サウジなどがカタール断交措置などを明らかにしてからの当初の4週間は、イランとの断交や他国批判を繰り返すアルジャジーラ衛星放送の閉鎖、テロ・過激主義支援の終焉(しゅうえん)など13項目の和解条件を求めた4カ国側が押し気味であった。
しかし、カタールが回答期限の7月3日に条件をのめないとして以降の5週間は、むしろ4カ国側が受け身に回っている。特に調停国クウェートを皮切りにサウジ、カタールを歴訪し4カ国の外相と会談したティラーソン米国務長官が同11日、カタールと「テロ対策覚書」に合意して以降、風向きは大きく変わった。これらの会談の一部にはマーク・セドウェル英国安全保障顧問も加わり、各国の主張を聞くとともに事態の早期収拾に向けた説得に当たった。
同長官はカタールとの合意調印後、ムハンマド外相との共同記者会見で「米国には地上からテロをなくすという目標がある」「米国とカタールは、テロ資金源の追跡、情報の収集・共有、中東と自国の安全化に向け一層協調していく」「カタールが覚書合意の最初の署名国となった」と述べ、カタールの英断を称賛している。