新幹線車両所の観光化推進 自民検討、第1号は白山総合車両所

 自民党は、新幹線車両を点検する全国の総合車両所の恒常的な公開を推進する本格的な検討に入った。有力な観光資源で日本の高速鉄道技術を世界にアピールする拠点にもなるとして、具体的な支援策を来年度予算案で措置するよう政府に求める方針。2020年東京五輪・パラリンピックでの訪日客増を見越し、第1号として同年夏までに白山総合車両所(石川県)の公開を始めたい意向だ。関係者が明らかにした。

 自民党はプロジェクトチーム(PT)を発足させており、中間報告を年内にもまとめる。国土交通省によると、新幹線の総合車両所は全国で石川県のほか、北海道、宮城、福岡、熊本各県にあるが、非公開か、曜日限定の団体向け見学会などを開催しているだけ。白山総合車両所の年1度の一般公開日には約6000人が集まることを踏まえ、公開を恒常化すれば、海外を含めて多くの観光客誘致が見込めると判断した。総合車両所を運営するJR側と調整しつつ、白山から他の4カ所へ順次拡大させたい考えだ。

 安倍政権は鉄道を含むインフラ輸出を成長戦略の柱としている。党は総合車両所について「新幹線のショールーム」(岡田直樹PT事務局長)になると着目。各国の関係者に日本の技術を体験してもらう場にする狙いもある。

 総合車両所の公開では、車両整備など本来業務を優先しつつも、見学者の利便性も考慮する必要がある。政府に求める予算措置として、安全な見学通路の設置や来客者向けの案内施設「ビジターセンター」建設への支援などを想定する。

 中間報告には、外国人向けの多言語対応サービスや最寄り駅からのシャトルバス運行も提言する方向で検討。誘客効果を上げるため、鉄道博物館など大型複合施設の併設の可能性も探るべきだと指摘する見通しだ。