【高論卓説】オランダ水害根絶の教訓 科学への信頼、計画達成に導く (1/3ページ)

 オランダは国土の4分の1が海面より低い干拓地である。常に水害に悩まされてきた。1916年には、北海の暴風雨に伴う高潮で、首都アムステルダムの北方の北ホラント州の大部分が浸水した。これに懲りたオランダ政府は、アムステルダムの北東に広がるゾイデル海の入り口を堤防で閉鎖して北海の高潮による水害を根絶する計画を立てた。

 一方、ゾイデル海の入り口を閉鎖した場合、北海との境界にあるワッデン諸島と堤防の間の海域での干満差の拡大に懸念があった。それを考慮して、この部分の防潮堤をかさ上げしなければならない。問題は、その高さが分からないことだった。

 そこで政府はこの問題を研究する特別な委員会を組織し、その委員長にH.A.ローレンツ氏(1902年ゼーマン効果の発見とその理論的解釈により第2回ノーベル賞受賞)を指名した。国運をかけた巨大プロジェクトの命運を、海洋学者でも土木工学者でもない理論物理学者に委ねた。

 8年にわたるローレンツ氏と委員会の苦闘が始まった。委員会はまず、検潮計をさまざまな場所に設置することから始めた。次の課題は、複雑に入り組んだ水路を流れる潮流と干満差を正確に評価することだった。委員会は、摩擦を考慮した「潮汐理論」を新規に構築し、スエズ運河やブリストル湾の潮位変化に適用して良好な結果を得た。

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