ロシア極東で人気が高い日本製中古車の輸入業が曲がり角を迎えている。ロシアの新しい安全規制で、今年から同国独自の通信機器の設置が義務付けられたためだ。機器の取り付けが追い付かず、新規制が日本製を「狙い撃ち」にしたとの見方も出てきた。2倍以上の設置料を取る闇業者まで現れ、混乱が広がっている。
「収入は半減した。全ては新規制のせいだ」。ウラジオストク郊外の中古車販売場「グリーンコーナー」で業者の男性が怒りをあらわにした。ロシア極東では街を走る車の大半が右ハンドルの日本車。販売場にはかつてはトヨタ自動車や日産自動車の車が所狭しと並んでいたが、今は空きスペースが目立つ。
混乱のきっかけは政府が1月から販売する車に、ロシア版衛星利用測位システム(GPS)「グロナス」を用いて事故などの緊急時に自動で当局に位置などを知らせる独自の機器設置を義務付けたことだ。
新たに輸入される中古車も対象になったが、機器の取り付け業者や手順が示されず、税関にはナンバーが取得できない車が大量に留め置かれる事態に。国産車のシェア拡大を目指す政府が、安全規制を口実に輸入中古車市場の縮小を狙ったとの見方が広がった。