【米韓FTA協議】初会合は物別れ 米「迅速な改定交渉」要求 韓「貿易赤字の原因ではない」

 【ソウル=桜井紀雄】米韓両政府は22日、自由貿易協定(FTA)の扱いを話し合う初の特別会合をソウルで開いた。迅速な改定交渉入りを求めた米側に対し、韓国側は「FTAは米貿易赤字の原因ではない」と交渉入りに応じず、合意に至らないまま協議は終了した。

 韓国側代表の産業通商資源省の金鉉宗通商交渉本部長が会合後に明らかにした。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は訪韓せず、会合の冒頭、テレビ会議を通じて金氏と協議した。米側は、FTA発効後、モノの貿易赤字が2倍に膨らんだとし、協定の改定や修正を通じた是正の必要性を主張した。

 韓国側は、サービスや投資分野など総合的にみて現行の協定が互恵的だと強調し、まず経済的効果を客観的に検証するよう提案。協議は平行線をたどり、「改定の必要性について異見があることを確認した」(金氏)だけで、次回の会合日程も決まらなかった。

 トランプ米大統領は、FTAを「ひどい取引だ」として就任前から再交渉に意欲を示し、6月末の首脳会談後の共同記者会見で「FTAの再交渉入り」を一方的に表明。USTRが7月、改定に向けた特別会合を米ワシントンで開くよう求めた。韓国側は、組織改編で通商交渉本部長も決まっていない点などを挙げ、開催時期の先延ばしやソウルでの開催を求めていた。金氏は今月初めに本部長に就任したばかりで韓国側の準備不足も指摘されている。