株式相場のアノマリー(経験則)に「彼岸底」という言葉がある。彼岸は、春分の日と秋分の日をそれぞれ中日とする各7日間。特に、秋分の日がある9月は例年株価が下がりやすく、「9月相場は彼岸底」と言われる。
アノマリーは明確に原因が究明されていないが、過去に繰り返し発生した現象で、格言めいた言い回しで説明される。では、なぜ「彼岸底」なのか。
日本の上場企業の約7割は中間決算が9月末で、本決算が3月末だ。決算時に海外で稼いだ外貨を日本円に換金するために円が買われ、9月は円高になりやすい。円高になると輸出関連企業の株が売られるので、株価が下がりやすい-との理屈だ。
さらに、8月には地政学リスクの高まりや米政権の混乱が世界の株式市場を揺らした。欧州ではテロが発生し、米国では人種差別問題をめぐって、トランプ大統領への風当たりが強まっている。その上、欧米の中央銀行は金融緩和の「出口」に向かい、米政府の債務問題なども懸念される。市場にショックを与えかねない不安材料は山積しており、9月相場は要注意だ。 (章)