株式相場が低迷、膠着(こうちゃく)している。日経平均株価は6月初めに2万円台を回復した。しかし、外国人投資家が8月第3週まで4週連続で売り越したあおりで、18日以降は終値ベースで1万9500円以下で推移。東証1部の株式売買代金は繁忙・閑散の境目とされる2兆円を下回る日が増えた。日経平均の変動率を予想する「日経平均ボラティリティー・インデックス」は25日現在で15.20と、10年来の低水準に下がった。
人の心と相場の地合いはコロコロ変わる。日銀は2016年7月、指数連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れ枠を年3兆円余りから6兆円に増やした。当時の市場は「これで日経平均が2000~3000円押し上げられる」と歓迎ムード一色だった。それが、である。今年7月、日経平均の月間変動幅は上下344円と、約30年ぶりの小動きとなった。証券マンらの日銀評はにわかに悪化した。「日銀のETF大量買いが株価形成をゆがめ、外国人投資家を市場から遠ざけた」「日銀の下値支え買いで、押し目らしい押し目局面が訪れず、個人投資家は売買に参加する機会を失った」「相場はダイナミズムと自律性を失い、『株式の死』を招きかねない」…。市場では日銀のETF買いの効用より、副作用と弊害を指摘する声が満ちる。
日銀がETFを買い始めたのは10年12月。以来、買い増しを続け、ETF保有残高は15兆731億円(8月20日現在、営業毎旬報告)に膨らんだ。東証1部の時価総額600兆円弱の2.5%に当たる。